週刊リクニュース

5月23日恐怖電車

昨日、ひさしぶりに電車に乗ったのです。

石川県在住で、車で移動する生活をしていると、

そうそう電車に乗ることなどありません。

ひさしぶりに電車に揺られると、

それが引き金になって、電車にまつわる、

ろくでもない記憶が蘇りました。

悪夢。

ちなみに、リク兄齢27歳、

あの電車での体験以上に怖い思いをしたことは

ありません。

私のなかの
最怖記憶まちがいなしです!

それを体験したのは、8年前。

その頃、私は東京に住んでいたのです。

朝の通勤ラッシュにもまれながら、松戸から

東京駅まで毎日通っていました。

いつも通り、電車に乗り込むと、

異様な感じがしました。

朝の通勤ラッシュなのに、私の乗った車両だけ、

すこし空いている。

ドアが閉まり、電車が走り出すと、

目の前にいた男性が、早足で、満員で入る余地などない

隣の車両に入っていった。

<なんだ、あの人、こんなに空いているのに、どうして
わざわざ満員の車両に行くんだ?>

そう怪訝に思っている私の視界のなかに、

女の後ろ姿が写った。

その女の周囲には、人がいない。

乗客たちから、距離をおかれている。

何故だろう?

変な匂いがするとか、ブツブツ言っているとか、

後ろから見るかぎり、おかしなところはない。

普通の後ろ姿。

ガタンガタン、ガタンガタン。

電車の揺れる音しかしない。

まわりの人は、どうしてこの女を避けるのか?

なにかある、と私は思った。

こんなに避けられるなんて普通じゃない。

なんだろう、、、、、、、、、?

と考えていると、

ガタン。

後ろ姿を見せていた女の人が、

電車がブレーキを踏んだ揺れで、バランスを崩して、

こちらをむいた。

40歳くらいの青い顔色の女。

黒目が凄く大きくて、口元が笑っている。

この表情、8年たった今でも思い出せる。

邪悪な微笑み、狂気の微笑み、どう表現すれば

いいのかわからないけど、その表情は、

異常だった。

それだけじゃなかった。

「、、、、、、、、、、、!!!」

私は、あるモノに目がいって、絶句した。

それはマチ針だ。

ピンク色のマチ針。

それが女の腕の内側に、

半分ほど刺さっている。

青い腕には、針で刺したような傷が無数にあって、

私は、おぞましさで、完全に動けなくなっていた。

女は、腕にマチ針をさして、こちらをみて笑っている。

このうえなく怖い笑みだ。

私は、その時、

自分の腕を針箱かわりにする狂人は、

他人の腕にもマチ針を刺すかもしれない。

と思った。

恐ろしい。

凶器はいまのところ、女の腕に刺さっているが、

あれを抜いて、刺しにきたらどうしよう。

電車のなかにいる乗客は、私を含め、その

キチガイ女と視線を合わせないようにしつつ、

一挙一動を怯えてうかがっていた。

私はとりあえず、次の駅に着いたら、電車を降りよう、

と固く決意した。

次の駅につくのが、恐ろしいくらい長く感じた。

電車は減速し、停止。

扉が開くと、私より先に、キチガイ女が電車から降りて、

人混みに消えた。

腕に針を刺したままだ。

気が狂っている。

「なんだよ、、、あれは、、、、」

おぞましいくらい怖かった。

たった数分の体験だったと思うが、

8年たった今でも思い出す。

よく、幽霊が怖いというが、

生きている人間のほうがよっぽど怖い!

体感した出来事。


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